好きが涙に変わって溢れてく。


学校が終わると私は真っ先に家に帰って、制服を着たままベッドに倒れこんだ。



すぐハンガーにかけなければシワになることを気にするはずの私が、そんなことなど全く頭にないくらい、とにかく横になりたいし眠ってしまいたかった。




「魁……」



彼を想うと、胸が痛い。


こんなに誰かを好きになったのは初めてのことなのに、報われないのは酷く胸が痛む。



ねぇ魁、振り向いて?


そんなことを強く思いながら、私は目を瞑った。








――――――――
―――――



「……やっ!さや‼」


「!?」


誰かの叫び声に、私はパッと目が覚めた。



「……んー」


寝ぼけながら眼を擦ると、目の前にいる人物をじっと見つめる。



「あ、お母さん……」


「まったく、制服で寝たらシワになるでしょ?寝るならちゃんと着替えてから寝なさいよ」


「ごめん」


「もうご飯よ。着替えて降りてらっしゃい」


「はーい」



外を見れば真っ暗。

結構熟睡していたようだ。


起き上がると、当たり前のようにスカートとブレザーにシワが沢山できてるし……



しっかりと伸ばしてハンガーにかけた後、私は着替えてリビングへ向かった。




「あれ、お兄ちゃんは?」


「今日は友達と遊んでから帰ってくるみたいよ」


「ふーん」



あのアホ兄貴がいないなんて、食卓が平和そのものに感じる。



お母さんとお父さんと3人で食べるご飯はどこか新鮮なのに、でもほんの少しだけ寂しい気もした。

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