好きが涙に変わって溢れてく。
彩葉が再び椅子に腰を下ろすと、暗い顔で瞳は続けた。
「でもさぁ、聞いてビックリしたよ。だってさ、その子彼氏いるんだよ?なのに扇谷君のこと気になりだしたって……」
「それって誰?」
私が問い掛けると、瞳は視線を違う場所へ移した。
「……明菜」
視線の先にいたのは、友達と楽しそうに話している、明菜。
ショートカットのよく似合う、綺麗な女の子だ。
「うっそ~どうしよ……」
彩葉が不安に思うのも当然だった。
明菜は男子から人気がある。
性格がとてもいいと大絶賛なのだ。
今は彼氏がいるとしても、いつ明菜が本気にしてしまうかわからない。
「私よく明菜と話すけど、そんなこと言ってなかったのになぁ」
私は明菜と授業が同じ科目がある。その時はいつも2人で喋っている。
結構仲もいい方だと思ってるけど、私よりは瞳の方が仲がいいみたい。
「まぁでも今は彼氏とうまくいってないらしいから、それもあると思うよ?」
「そうだといいけどなぁ……」
ガックリと肩を落とす彩葉。
授業を告げるチャイムが鳴り、私達はそれぞれ席に着いた。