好きが涙に変わって溢れてく。
魁からそんな言葉を聞くのは嫌だったけど、2週間も経てばもう慣れてしまっていた。
その度に、魁の明菜に対する気持ちがより突き刺さってくる。それが何よりもの苦痛だった。
でも私はその話を聞きながら、ちゃんと笑えていた。
「ねぇ、魁は明菜のどういう所が好き?」
好きなタイプを聞けば、私も頑張れる気がする。
明菜にはなれないけど、魁が明菜を好きなら少しでも近づきたい。
魁は頭の後ろで手を組むと、顔を赤らめながら言った。
「なんて言うんだろ。ぶっちゃけ言うとさ、これといって理由はねぇんだよな。ただ一目見て惹かれた。顔とかじゃなくて、雰囲気っていうか存在にっていうか。
それに最近明菜ちゃんとよく喋ると、すっげーいい子なんだよなぁ。優しいし。確かにあんな子は世の中の男放っとかねーよ」
明菜を想う笑顔は、見るのが辛い。
やっぱり聞かなければよかったと、今になって後悔した。