好きが涙に変わって溢れてく。
◆ Section2◆
あの子の本性
瞳に言われて数日が経過したある日の朝のこと。
「桜綾……」
彩葉と逢織と喋っていると、目の前には瞳が深刻そうな面持ちで立っていた。
「瞳?どうしたの?」
瞳はいつもなら朝早くにいるはずなのに、今日は少し遅めの登校だ。
私が訊ねると、瞳は重そうに口を開いた。
「明菜……彼氏と別れたって」
「「「……は?」」」
3人の声が、見事に一致した。
どういうこと?
周りを見て、明菜がまだいないことを確認すると瞳は続けて言った。
「全部知ってるよ、明菜。魁くんに好かれてることも、それを私たちが知ってることもね」
「どういう意味……?」
「やっぱりあいつは最低な女だ」
私の声は震えていた。
多分体も心も全部。
真っ青になるしかなくて、瞳の言葉を待つしかなかった。
「明菜は……魁くんを桜綾から奪おうとしてるの」
まさか、信じられない。