好きが涙に変わって溢れてく。
『でも桜綾はずっと魁くんに片想いしてきてるんだよ?明菜は応援するって言ったんでしょ?なのに魁くんと付き合うの?桜綾の気持ちはどうすんのよっ‼』
初めて私は明菜に声を張り上げた。
ここまで明菜が口にしてくれたことは初めてだったんだ。
いつもは私にでさえも、隠そうとしていた本性を。
『別にそんなの放っとけばいいんじゃない?好きになられたんだから私は何も悪くないし。桜綾だってその内諦めるわよ。何か言ってきたってどうせ私にはかなわないんだしさ』
『それ……本気で言ってんの?』
『もちろん。私が負ける訳ないじゃない。あんなどこにでもいそうな対して可愛くもない女に』
これがいつもはあの可愛らしい明菜だと思うと、鳥肌を作るくらい怖かった。
二重人格。
明菜にはまさにその言葉が当てはまる。
私は静かに息を吐いた。呆れると同時に、込み上げてくる怒り。
『明菜……最低だね』
『何とでも言えば?どうせ誰も信じないよ』