好きが涙に変わって溢れてく。
「ヒマだね~この授業も」
「そうだね」
教科書を丸めながら明菜が言った言葉を、私は軽く流した。
音楽の時間は、いつも先生がピアノを引いて私たちが歌を歌い続けるだけ。
私にとっては、話さなくて済むから結構好都合なんだけどね。
この音楽の授業以外ではあんまり明菜とは喋らないけど、たった今話しただけでもちょっと嫌気がさしている。
……あんまり話しかけてほしくない。
でもそう思うのは、やっぱりダメだよね……いくらなんでも。
「ねぇ桜綾‼魁くんとは上手くいってる!?」
肘で私の体をつつく明菜。
一気に私の苛立ちは大きくなる。
何がしたいんだろう。魁の気持ちを知ってるくせにそんなこと聞いてくるなんて。
協力するなんて、初めからそのつもりもないくせに。
哀れみのつもり?
それともただの嫌味?
「……何もないけど」
「え~‼そうなの!?勿体無い!」
残念そうな顔を見せる明菜。
私には、まるで自分の方が好かれてますって言われているみたいですごく腹がたつ。