好きが涙に変わって溢れてく。
「私、ちょっとトイレ……」
イスから立ち上がり、カバンを持ってその場を離れる。
先生には頭が痛いので保健室に行くと伝えると、明菜から逃げるように音楽室から出た。
廊下を歩きながら、息を整える。
何なの……あれ。もう少しで自分を見失ってしまいそうだった。
怒りで。
見えてきた、彼女の本性。
明菜はきっと魁と付き合うつもりだ。
嫌だけど、私にはそれを言う権利がない。
私は魁の彼女じゃないし、ましてや魁は明菜に思いを寄せているのだから。
だから明菜の気持ちを今聞いたって、私はそれを止めることなんて出来ないんだ。
だからこそ、何も出来ない自分が悔しい。
明菜よりも魁を好きな気持ちは自信あるのに、誰にも負けない自信があるのに、明菜にかなわないなんて。
思うと、涙が溢れてきた。
悔しい……