好きが涙に変わって溢れてく。
次の日。
今日は一段と身だしなみに気合いを入れてきた私は、周りに警戒心を漂わせながら歩いていた。
きっと今日も魁がカバンでからかいに来るはず。
だが、いつまでたってもあの豪快な足音は聞こえてこない。
「あれ……?」
毎朝欠かさない……言えば日常茶飯事だった
のに、それがないなんてやはり寂しい。
風邪でも引いたのかと思い、私は鞄の中からスマホを取ろうとした。
その時。
隣をスタスタと歩いていく背の高い男。
よく見ると、見たことのある後ろ姿。
「魁……?」
ポツリと呟くと、すぐ前にいる人物が後ろを向いた。
「え、片桐……!?」
私を見た瞬間驚く魁。
「何よ……その驚きようは……」
「だって、後ろから見たらお前別人だぜ!?全っ然お前だってわかんなかった」
確かに今日は、いつも下ろしていたストレートの髪を綺麗に巻いている。
そんな私を見慣れていないのか、魁は全く気がつかなかったらしい。
嬉しくなって私が照れていると、魁はぷっと笑い出した。
「お前が髪の毛巻くと、なんか変だな。おもしれ……っ」