狐のゲーム[復讐の月]
2階は異常なし
次は遂に1階だ
できれば2人とも降りたくないが
仕方ないと腹をくくった
1階の階段の
折り返し地点まで降りると
2人は深呼吸をした
「いっせーので1階見よっか…。」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ。」
一応の為見つからないよう小声で話す
本当は見たくない
でもここで頼ってしまったら
酷い女、と思われてしまうかもしれない
それだけは嫌だと決心したのだ
「じゃあ、行くよ…?」
「「いっせーのーでっ…!」」
バッ
一斉に1階の通路を
見るが何もいなかった
壁は少し先で見えない為
そこで奴が潰れてる
可能性は無きにしも非ずだ
「よ、よかった…。」
「安心するのはまだ早いと思う。
壁に潰れてると願いたいけど
確認して確かめなきゃ
今後1階に降りれなくなる。」
「お、降りるのっ!?」
「瀬戸内さんはここにいて。
俺が見てくる。」
「えっ、矢島君!」
意を決したように雅が
一段一段1階へと降っていく
「(うそでしょー…!?)」
最後の一段まで来ると立ち止まり
そろそろと左の壁の方へ目線を向けた
「…あれ…?」
「(どうしたんだろ…?)」
「や、矢島君…?どう?」
「いない…ぶつかった跡も…。」
「えっ…!じゃあ今、どこに…」
ピチャッ
「え…。」
上からなにか水らしきものが
落ちてきた
雨漏りなんてしないはず…
ハッ
「あ、あぁ…。」
気づいてしまったがもう遅い
人はだめだと思っている事ほど
やりたくなる生き物だ
自分でも見てはいけないと
思っているのに
反射的に顔を、目を向けてしまった
ゆっくり、ゆっくり
ただの水滴であってくれと
願いながら
「いぁ…あああ…いやぁ…。」
「?瀬戸内さん?どうし…」
上を見たまま固まっている沙代を
不思議に思い雅も沙代の
見ている方を見てみた
「…っ!!瀬戸内さんっ!!
逃げろっ!」
「た、たすけて…矢島君…っ!」
[それ]と目が合ったまま
瀬戸内に助けを求めた
恐怖のあまり足が動かないのだ