裏切り裏切られ
目も瞑らず彼女の目を貫いた。
ゆっくりと上へ動き出した彼女の頬。
"にっこり"
それが今の彼女を表す言葉だ。
「よろしく、晴美ちゃん!
大倉笑心。笑うに心って書いて"えこ"だよ!?」
第一印象は笑顔が似合う笑心ちゃん。
この子となら仲良く出来る。
どこから来たのかと問いたくなる自信。
「笑心はね、女子校から来たんだ!
だから共学なのは高校以来なんだっ」
私は女子校の世界など知らないが、これから知ることになりそうだ。
「でも、このクラス男子少ないね.....。
事実上女子の帝国になるかも」
笑心ちゃんは残念といった顔でクラスを見渡す。
「あ、ユヅキちゃん!」
笑心ちゃんは一目散に"ユヅキちゃん"と呼ぶ子の元へ走っていった。
1人にはなりたくない臆病者だから笑心ちゃんについて行ったんだ。