紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
「おい!そこの女!!そんなやつと遊んでねえで俺らとあそべよ!」
声のする方を見ると、保育園で1番のボス的存在の男の子がいた。
その男の子は紬ちゃんの元へ駆け寄る。
そして、あろうことか、か弱い彼女の髪を鷲掴みにした。
「いたっ…い!」
「うるせえ!俺らとあっちにこい!」
保育園児にして身をもって知る格差社会。
あの子は強い。俺は、何もできない。
でも…
俺はここで学ぶことになる。
男の役目は女を守ること。女の子を泣かせるようなことはしないこと。
「つ、紬ちゃんを…離せエエエ!!!」
ボン!!!!
無知のままに反射的に蹴ったボールは
こし上くらいの高さを保ったまま、ボス男の子の体にダイブ。
あの時は、自分でも驚くくらいに上手く蹴っていたと思う。