紬ぎ、紡がれ、君に恋して。


俺の心のヒーローはそれから数か月もしないうちに俺の隣から去っていったけれども、俺のサッカーでの目標は変わっていなかった。



中学校にあがってからも、サッカーだけは毎日ずっと続けていた。


もう顔も曖昧なあの子の、そしてみんなのヒーローになるために。









そして念願の高校生。

俺は小学校のころから、高校は桜丘に入るって決めていた。





そこで俺は君に再開する。






フェンス越しに会ったあの日。

君が部に入ったあとに確認がてら部員リストを見た。
そこにはやっぱり、懐かしい君の名前があった。



そして、蘇る”あの日”の記憶。




そうか、お前が・・・・。







彼女は何一つ変わっていなかった。


くりんとした可愛らしい目も。


少し華奢な体も。



少し変わったのは大人びた表情かな。

でもまだ少し、あどけないけど。





君は、俺のことを覚えていなかったようだった。


俺は、覚えてるよ。


君が覚えていなくても君は、僕の心を揺るがした唯一のヒーローだから。




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