紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
「早よしなー」
「あっ!はい!すみません!」
湯呑みを女性に手渡す。
「あの、ちょっとトイレってどこでしょうか…?」
女性に問いかけるも首を傾げられるばかりだった。
「といれ…?ってなんどす?」
そ、そっか…江戸時代では呼び方が違うんだ…
高校では日本史を選択していたから、日本史の先生がこの時代の学習のときに何か言ってたような…
『この時代では、トイレのことを厠やご不浄なんて言う言い方をしていたんですよ』
思い出した…!うちの先生、雑学マニアで助かった…
「かっ、厠!厠に行きたいです!」
「ああ、厠ならそこ出て右」
「はい!いってきます!」
扉を開けた右隣に、言われた通り厠があった
。
古臭くて重い扉を開けると、そこには見慣れないトイレが…
これがボットン便所…
見慣れない光景に少し気持ちが悪くなったけど、しないわけにもいかないのでトイレを済ませた。