紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
「なるべく早く教室行けよなー。寄り道禁止ー」
「知ってますってば!」
私たち以外の誰もいない旧校舎に無駄に声が響いた。
「あの先生、なんかいけしゃあしゃあとしてたよね」
ゆらが隣でつぶやく。
「ほんとほんと。あの容姿で女釣って遊んでるんだよ絶対!」
私も率直な感想を述べる。
家にある雑誌に載ってたんだよね。男の人は顔だけで選んではいけないって書いてあったもん。
「えぇーそうなのかなぁ?私には結構いい人に見えたけど。」
「そんなのまやかしだよ!絶対!」
「そうかな・・・?」
「そうだよ!」
しばらく歩くと体育館前の廊下に出た。
ああ、本当は右に曲がるのに私たちは間違えて左に曲がっちゃったんだ。
正しい道を歩き、教室に戻る。
まだがやがやしている教室。
「よかったー。まだ先生来てないっぽいね。」
私とゆらはそれぞれ自分の席に戻る。
といっても前後なんだけどね。