紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
1階へ降りて洗面所で顔を洗って、くしで髪を梳かす。
寝起きは寝癖がひどいから髪が絡まって少しイライラする。
まだボブ丈でよかった。もっと長くなるとお手入れが大変そうだなぁ。
リビングに向かい、椅子に座る。
目玉焼きとご飯と味噌汁。
いたって普通の朝ごはん。
だけど今日は高校の入学式だから何もかもが新しく思えた。
「紬は今日から高校生ねー。」
「うん。ほんと早いよねー。」
「それあんたが言うかっ。それはお母さんのセリフよ。」
毎日交わす他愛もない会話も今は新鮮に思える。
朝のご飯を終え、まだ皮がしっかりしているカバンを持つ。
「お母さんもあとで行くから。入学式頑張って。いってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
学校指定の革靴を履く。
まだ硬くて違和感がある。
玄関の扉を開けて外に出た。