紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
七瀬先輩の手が頭から離れた。
「・・・体冷えちゃうからそろそろ行こっか。」
七瀬先輩は帰り支度を始めた。
私もあわてて荷物を片付ける。
夕暮れ時の薄ぼんやりした中にたたずむ時計の針を目を凝らして見てみると、もう7時近くをさしていた。
「うっわ・・。ごめんな、鈴宮。こんな遅くなってしまって。晩御飯いつも何時?」
「あっ、いつもは7時半なので特に問題はないです・・。」
「そ。ならよかった。」
2人薄暗い公園の並木道を並んで歩いていると、水の音が微かに耳に入ってきた。
その時。
ヒュオ・・・・。
少し肌寒いそよ風が私たちの間を通り過ぎていった。
・・・・なんだろう、この感じ・・。
少し肌寒いはず・・・なのに心が温かい。
なぜかこの風がとても懐かしく感じる。
その瞬間、また頭の中に映像が流れ込んできた。