紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
「先輩が唯月くんだったんですね・・。」
「・・・俺もなんとなくそんな気はしてた。・・・・前に川を見てたときあっただろ?あの時に思い出した。」
「先輩・・・・。先輩は、あの時私になんて言ったんですか?」
「あの時?」
「別れの前日の砂場です・・・。私、それが思い出せなくて・・・。大切なことだったはずなのに・・・。先輩は覚えてますか・・・?」
先輩の方を見る。
先輩は川の向こうを、その先を見つめていた。
「覚えてるよ。はっきり。なんせ俺の初めてだしね。そして、今も変わらないような気がする。」
「・・・・・教えてくれませんか・・・?」
「・・・・いいよ。」
そう言って先輩は一歩、私のもとに近づいた。
ヒュオ・・・
風が吹いた。
いつもより少し上で結った髪がゆらゆらとなびいた。