紬ぎ、紡がれ、君に恋して。
「相手にしてあげなくていいの?唯月クン。」
「その呼び方気持ち悪い。お前が相手しろよ」
陽に当たったら立派な茶髪になるふわふわとした髪が印象的なこいつは秋月 黎。俺の昔からの幼馴染である。
小学校のころから俺はこいつの隣でサッカーをしてきた。
高校に入ってからは、親友なんて気恥ずかしいが俺が唯一心の許せる友達だと思う。
それと同時に、「ライバル」としてお互いを見るようにもなった。
「・・・なあ、俺らさ、桜丘のって呼ばれてるらしいぜ」
「・・・オーバーすぎないか」
「いや、俺はこっちのほうがいいね。モテそう」
黎が何を企んでいるのかはどうでもいいが、俺と黎がここまで互角に近く、そしてお互いが腕を磨き、その成果がこうして出てくるのは少しうれしかった。
サッカーと音楽。
これだけあれば俺の人生は十分に満たされていると思った。