舞龍
「ねぇ、黒髪。さっきはありがと。」

とだけいうと、黒髪はキョトンとしながら

「黒髪ってなんだよ。」

と言ってきた。

「だって名前知らないんだもん。なんて名前なの?」

と聞くと、はっ?って顔された。

「今日初めてあったのに、あんたの名前なんて知らないんだけど。」

「黒向 迅(くろさき じん)。お前は?」

「神道 雅(しんどう みやび)」

「ふーん。雅。お前気に入った。」

そう言って黒髪は口角を上げた。
不覚にも見とれてしまったなんて絶対"あいつら"にはいえないな。

そのまま少し歩くと理事長室という札のついた扉の前についた。
すると、迅は

「雅、またな。」

と言って歩いていってしまった。
ほんと最初から最後までわけのわからないやつだなと思ったけど、でも同時に、もっと知りたいとも思った。


そんなこと、許されはしないのに。


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