舞龍
コンコン

扉をノックすると中から

「入れ」

と低い声が返ってきた。

扉を開けて

「久しぶり、旋(せん)」

と久々にその名前を口にした。すると旋はものすごい勢いで抱きついてきた。

「あぁー!俺の雅だぁー!久々みや♡ずいぶんと見ないあいだに大人っぽくなっちまってよぉー泣旋お兄ちゃんかなしい!」

とマシンガントークを繰り広げ始めた。

「あぁもう!なんでお前そんなに可愛いの!これだめだわ。絶対襲われる。みや、やっぱお前おれんちッ」

ドスッ

鳩尾に一発お見舞いしてやった。
俺んち来いよ、とでも言いたかったのだろう。誰が行くか、あんな汚い家なんて。彼の名前は統条 旋(とうじょう せん)この学校の理事長で蒼龍の3代目総長。高校を卒業して染めたのか、彼のトレードマークだった藍色の髪はチョコレートブラウンに変わっていた。

あたしの心情を悟ってか今度はシクシクと泣き始める旋。ほんと忙しいヤツ。

「ねぇ、さっさとしてくれない?聞きたいこともあるし、ね?(黒笑)」

「みや、顔怖いから。」

旋は椅子に座り直して、

「聞きたいことってなんだよ?」

と聞いてきた。

「黒向 迅って何者?」

「あったのか?あいつに。」

「うん。さっきチャラ男に殴られかけたとき、助けてもらった。」

すると旋はすごい殺気を出しながら、

「おい、みや。てめぇをなぐりかけたってのは誰だ?あぁ?」

「旋。別に気にしてない。実際無傷なわけだし?」

というと、「そういう問題じゃねぇ」とかつぶやきながらしぶしぶ殺気をしまっていた。

「んで、迅ってなんなの?」

「あぁ、あいつは全国No.2の族 炎鳳 の総長だ。」

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