クールな社長の溺愛宣言!?
終業時間間際、私は社長と他の役員とのスケジュールのすり合わせのために、秘書課に向かった。
クレアシオンの秘書室には、前の職場で感じていた女の職場ならではのギスギスした雰囲気はない。室長はじめ全員が女性だったが、私が社長秘書に就任したその日から、こちらが驚くほど歓迎ムードだった。
それもそうだろう。誰が務めても長くは続かない社長秘書のポストに、やっと人材が見つかったのだから。はじめは若干憐れみが混じった視線を向けられていたけれど、今では私の秘書としての能力を信頼してくれていると実感している。
私は役員受付を通り過ぎ、その奥の秘書室へと入る。まもなく終業時間だけれど、誰もが忙しそうに働いていた。
私以外の秘書は、ひとりで複数名の取締役と役員を担当しているのだから、忙しいのも無理はない。
打ち合わせを終えて廊下を歩いていると、ひと足先に退出していた同僚の秘書・豊川(とよかわ)亜弓(あゆみ)がこちらに気がついて、駆け寄ってきた。彼女の社歴は私の三年先輩にあたるが、年齢は三歳下だ。
「昨日お願いしていたアレ、どうなりましたか?」
「あの件なら、うまく調整しておきましたよ。来週の水曜の社長のお時間は確保できています」
「よかった~」
豊川さんは心底ホッとしたようだ。
「さすが清家さん……猛獣使いって、呼ばれるわけですね」
「猛獣使い?」
私の怪訝(けげん)そうな顔を見て、豊川さんの顔がハッとした。
「いや、あの、これ褒め言葉ですよ」
クレアシオンの秘書室には、前の職場で感じていた女の職場ならではのギスギスした雰囲気はない。室長はじめ全員が女性だったが、私が社長秘書に就任したその日から、こちらが驚くほど歓迎ムードだった。
それもそうだろう。誰が務めても長くは続かない社長秘書のポストに、やっと人材が見つかったのだから。はじめは若干憐れみが混じった視線を向けられていたけれど、今では私の秘書としての能力を信頼してくれていると実感している。
私は役員受付を通り過ぎ、その奥の秘書室へと入る。まもなく終業時間だけれど、誰もが忙しそうに働いていた。
私以外の秘書は、ひとりで複数名の取締役と役員を担当しているのだから、忙しいのも無理はない。
打ち合わせを終えて廊下を歩いていると、ひと足先に退出していた同僚の秘書・豊川(とよかわ)亜弓(あゆみ)がこちらに気がついて、駆け寄ってきた。彼女の社歴は私の三年先輩にあたるが、年齢は三歳下だ。
「昨日お願いしていたアレ、どうなりましたか?」
「あの件なら、うまく調整しておきましたよ。来週の水曜の社長のお時間は確保できています」
「よかった~」
豊川さんは心底ホッとしたようだ。
「さすが清家さん……猛獣使いって、呼ばれるわけですね」
「猛獣使い?」
私の怪訝(けげん)そうな顔を見て、豊川さんの顔がハッとした。
「いや、あの、これ褒め言葉ですよ」