クールな社長の溺愛宣言!?
――〝猛獣使い〟のどこが褒め言葉なんだろうか……。
気持ちが顔に出ていたのだろう。焦った彼女は釈明する。
「清家さんが来るまで、誰が社長秘書を務めても続かなかったから、一年半なんて最高記録を打ち立てたのを、みんなが尊敬のまなざしで見てるんですよ。最初は〝生贄〟だの〝人柱〟だの言われてたのにって」
どんな言われようだ――とは思ったけれど、自分でもこんなに長く務まるとは思っていなかったので、他人からすればもっとそう感じるのかもしれない。
それにその異名は――一部分に関しては――決して大袈裟じゃない。
「じゃあ褒め言葉として受け取っておきます。猛獣が暴れ出すといけませんので、生贄は大人しく檻(おり)の中に戻らさせていただきますね」
「あ、ちょっと待ってください」
彼女は立ち去ろうとした私を呼び止めて、にっこりと笑った。
「お礼と言ってはなんですが……今度合コン、行きません?」
「合コン?」
それは今までの私の人生で、あまり縁のない単語だった。
「そうです。もしかして、彼氏さんいらっしゃいますか?」
「いや……いません」
彼氏だなんて……高校生の時、三カ月で別れて以来、長いこといないままだ。それも、なんとなくうまくいかず、気づけば自然消滅していたというのが、私の唯一の恋愛経験になる。それ以降、浮いた話のひとつもなく、悲しいかな今に至る。
「だったら、行きましょうよ~。実は彼氏の同僚に誰か紹介してって、ずっと頼まれてるんですよ。だから今度ぜひ!」
気持ちが顔に出ていたのだろう。焦った彼女は釈明する。
「清家さんが来るまで、誰が社長秘書を務めても続かなかったから、一年半なんて最高記録を打ち立てたのを、みんなが尊敬のまなざしで見てるんですよ。最初は〝生贄〟だの〝人柱〟だの言われてたのにって」
どんな言われようだ――とは思ったけれど、自分でもこんなに長く務まるとは思っていなかったので、他人からすればもっとそう感じるのかもしれない。
それにその異名は――一部分に関しては――決して大袈裟じゃない。
「じゃあ褒め言葉として受け取っておきます。猛獣が暴れ出すといけませんので、生贄は大人しく檻(おり)の中に戻らさせていただきますね」
「あ、ちょっと待ってください」
彼女は立ち去ろうとした私を呼び止めて、にっこりと笑った。
「お礼と言ってはなんですが……今度合コン、行きません?」
「合コン?」
それは今までの私の人生で、あまり縁のない単語だった。
「そうです。もしかして、彼氏さんいらっしゃいますか?」
「いや……いません」
彼氏だなんて……高校生の時、三カ月で別れて以来、長いこといないままだ。それも、なんとなくうまくいかず、気づけば自然消滅していたというのが、私の唯一の恋愛経験になる。それ以降、浮いた話のひとつもなく、悲しいかな今に至る。
「だったら、行きましょうよ~。実は彼氏の同僚に誰か紹介してって、ずっと頼まれてるんですよ。だから今度ぜひ!」