クールな社長の溺愛宣言!?
第一章
邪魔だ
私の心と同じくらいどんよりとした空を見上げて、大きなため息をついた。
なにも六月の梅雨空だけが、ため息の原因ではない。
「はぁ……今日も見つからなかった……」
ハローワークからの帰り道、ぽそっとひとりつぶやいた。
世の中が不景気なのだから、そう簡単に仕事が見つかるとは思っていない。
けれど毎回『不採用』と告げられると、今までの自分が全部否定されたような気になってしまう。
「はぁ……」
止まらないため息をつきながら駅のホームへ到着すると、すぐに電車が滑り込んできた。
平日の午後一時。大学を卒業してからというもの、四年間ほぼ毎日同じ満員電車に揺られていた。駅に到着するまで身動きが取れず、人の波に押し戻されて下車するのもやっとだった。
それが嫌で仕方がなかったはずなのに、今となってはそれすらも懐かしく思える。
開いた扉から乗り込んで、車内を見回し空いている席に座る。バッグからクリアファイルを取り出すと、中に挟んだ履歴書を手に取り改めて眺めてみた。