さよならの前に。
「おい。美馬ちゃんに何した?」


すごく声が低いその持ち主は普段からは想像もできないくらい怒った長谷川くんの姿だった。


「長谷川くん!?」


美馬は驚きを隠せないようだ。


「長谷川くん!ごめんね。私…長谷川くんのこと。」


言いかけたその子に彼は言い放った。


「お前みたいな卑怯な手を使う奴より物をきちんと言える美馬ちゃんの方が俺は好きだね。」


その言葉に美馬は思考回路が停止したであろう唖然としていた。


「もし次この子に手出したら許さねーからな?」


そういって美馬の方に振り向いていった。


「美馬ちゃん!俺の彼女になってくれませんか?毎日笑わせるし毎日幸せにする!」


そういう彼に美馬は泣きながらうなづいた。


そして長谷川くんはいつもの笑顔を取り戻しガッツポーズをした。
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