さよならの前に。
「でも…体育館裏で言われて教室に行った時見張られていることを知って未真だけには手を出して欲しくなくてそうすることしかできなかった。」


話終わると玲は私を抱きしめてくれた。


「でもね。玲が助けてくれた時嬉しくて少しずつ私の思い出を作って悲しみを埋めてくれた。でも消えないの。松竹梅くんの笑顔も言葉も楽しい思い出も忘れたいのに。無理なの。」


そういうと玲は私の顔を見ていった。


「言えんじゃん。本音。」


そう玲に言われて気づいた。


「俺と別れて?」


こんなにも綺麗な夜景のとこで私の辛さを理解して玲も辛いはずなのに。


「俺は美蘭にそんな悲しい思いも後悔もして欲しくないんだ。だって笑顔が似合うんだもん。素敵な思い出をありがとう。」


そう言って手を差し出してきた。


「でも、」


私が答えに手間取っていると玲はにこやかに言った。


「大丈夫だよ!俺はいつでも味方だから!だからほら今行くべきは俺の元じゃない。あいつのもとだろ!行け!美蘭!」


その声とともに私は駆け出した。


松竹梅くんがどこにいるかなんて見当もつかないのに走り始めていた。


でもその前に未真に全てを話したくなった。


未真に私は半年ぶりの電話をした。


「未真!!!話したいことがあるの。」


そういうと未真は。


「わかった!行く!」


とだけ言って私たちは何を言わなくてもどこに行くかはきっとわかっている。


だって親友だもん。


私は無我夢中で走った。
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