【完】キミは夢想花*
何週間か経ち、木々は徐々に秋らしさを身にまとっている。
身の回りに変わったことなんて1つもなく。
朝起きて、学校に行って、バイトに行って、眠る。
そんな日常の流れに抗うこともなく、流されるかのように過ごす日々。
その生活に音や色はなくて、ただ無音でモノクロの世界に生きているかのよう。
私はこのまま死ぬのかな。
ふとそんな思いさえ抱いてしまう。
今日もきっと同じことの繰り返しに違いない。
それなら、ずっと布団の中で眠っていたい。
そう思いながらも私は瞼をこすりつつ、起き上がり学校へ行く準備を始めた。
「行ってきます」
玄関先でお母さんに見送られ家をあとにすれば、重たい足取りを動かす。
学校に近づくにつれ、私に挨拶をするクラスメイトや先生。
そんな人達に私も挨拶を返した。