【完】キミは夢想花*
前までは、誰かと挨拶を交わすなんて考えらなかったのに。
今ではこれが普通。
そんな当たり前の日常を私にくれた、非現実的な彼。
たった一瞬の夢。
それは私の中で強く根付いている。
私は止めていた足を動かそうと、1歩踏み出した時。
「どうも、おはようございます」
背後から声を掛けられた──
振り返れば、見たことのない気品溢れる男の人。
薄水色の袴を着ていて、それが栄える美しさ。
思わず見とれてしまう。
「蓮様」
そう呼ばれてハッとした。
誰だこの人...
そして...
「私の名前を...?」