【完】キミは夢想花*
いつもは余裕を持って登校するだけに、先生からのお咎めがなかったことが幸い。
「寝坊したの?」
「いや、チャイム前には既に学校の近くにいたよ」
亜子は、じゃあどうして遅刻なんてするの?とでも言いたげな表情を浮かべている。
「あのさ、亜子」
「ん?」
「もしも…宇宙人に、宇宙に招待します。なんて言われたらどうする?」
我ながら下手くそなたとえ話。
そんな下手くそな意味の分からないもしもの話に、亜子は苦笑いを浮かべるものの、真剣に考えてくれた。
「うーん……私なら行くかなー」
「どうして?」
「だって、宇宙なんて行ったことないし。自分の知らない世界を知る機会なのに、そのチャンスを自ら逃すなんてもったいないじゃない」
亜子の考え方は人を魅了する力がある気がする。