【完】キミは夢想花*
今晩、結さんは私を迎えに来ると言った。
人間の私が、妖の世界に足を踏み入れていいのか。
未知の場所は怖い。
彼の暮らす世界が気になることは確か。
けれど、もしもあの出来事よりも悲惨なことを知ることになるのならば……きっと私はもう二度と立ち上がれない気がする。
怖い。
気になる。
怖い。
知りたい。
この繰り返し。
そんな私の背中を亜子は優しく前に押してくれた。
〝自分の知らない世界を知る機会なのに、そのチャンスを自ら逃すなんてもったいない〟
確かにそうだ。
知るのが怖い。
それでも、知ることによって何かが分かるかもしれない。