【完】キミは夢想花*
私はさっきの言葉の続きを口にする。
「過去なんて関係ない。もしも、亜子を疑うような人が出てきても、私だけはどんなことがあっても亜子を信じる」
誰にも信じてもらえなかった過去があるからといって、自分を偽ることはもうしなくていいよ。
私だけは、亜子のことをずっと、ずっと信じてるから。
「亜子は、偽らなくても十分人を惹きつける魅力がある。だから、もう大丈夫だよ」
ずっと彼女に言いたくて、でも言えなかった言葉。
伝えたいと思った時に、どんなに恥ずかしくても伝えることの大切さ。
それを教えてくれたのは紛れもなく彼。
「…ぐすっ…っ……蓮、ありがとう」
亜子は私の言葉に涙して、温かい言葉を贈ってくれた──
私達は、誰かに存在を認めてもらいたいだけ。
普通を手に入れたいだけ。
似た者同士の私達。
だからこそ、私達はお互いに1番の理解者になるんだ。