【完】キミは夢想花*
「お待ちしておりました」
結さんは妖気に微笑んだ。
「蓮様。ネックレスはお持ちですね?」
「えっ…」
どうしてそれを…
彼から貰ったネックレス。
私は未だに外すことが出来ていなかったのだ。
「あちらの世界に人間が入る際、あちらの世界のモノを身に着けている必要があるのです」
「もし…身に着けていなかったら…どうなるんですか?」
「死にますよ」
結さんは、顔色を変えずに言った。
やはり、妖にとって〝死〟とは日常的なものに過ぎないんだと思った。
「蓮様、あちらの世界に行くにあたって、幾つか約束事があります」
「約束事?」
「さようでございます」