【完】キミは夢想花*
それから結さんは3つ約束事を話した。
1つ、結さんの側から離れないこと。
2つ、結さん以外の妖と会話をしないこと。
3つ、ここから結さんが良いと言うまで目を開けないこと。
「了解しました」
「じゃあ、ここからワタクシが良いと言うまで」
「はい」
私はそっと瞳を閉じた。
瞳を閉じたまま、結さんに手を引っ張られ連れてかれる。
***
「目を開けてよろしいですよ」
随分と長いこと瞑っていた目を開ければ、明るい光が視界いっぱいに勢いよく入ってくる。
辺りをキョロキョロと見渡せば、前方に繁華街が見え、そちらの方からは賑やかな声が聞こえてくる。
「ここが……」
妖の世界なの?
随分と人間の暮らしている世界に似ている。