【完】キミは夢想花*
「ワタクシは、蓮様に真実を知って頂きたく、この度こちらの世界にご招待したのです」
「……ありがとう…ございますっ…」
涙で視界がぼやけながらも、結さんにありったけのお礼を伝えた。
「今日……ここに来られて、本当に良かったっ…」
それは紛れもなく本心だ。
ここに来なければ、きっとずっと、椿を恨んでいたに違いない。
真実を知ることもなく、この現実に苦しんでいたに違いない。
彼のことを知れて良かった。
ねぇ……私はやっぱり…
どうしようもないぐらい、椿が好きだ──
この気持ちはもう誤魔化せない。誤魔化したくない気持ち。
けれど。
「……私、見つかる前に帰ります」
決して相手に気持ちを伝えることはない。
「会われなくて良いのですか?」
「はい」