【完】キミは夢想花*
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季節は過ぎ去り、私達は高校を卒業し大学に入学した。
私は地元の大学。
亜子は東京の大学。
それぞれ、自分のやりたいことを見つけるため。
また、夢を叶えるためにも私達は未来を見続け歩き続けた。
そして、それから更に4年が経ち、私達は大学4年生。
4年も経てば考え方も少しは大人になった気がし、余裕を少しだが持てるようになったと思う。
この長いようであっという間の年月は、いい意味で平凡。
家族とも相変わらず仲はいいし。
高校の初期の頃に友達作りで苦労したとは思えない程、大学ではごくごく自然に友達も出来た。
強いて言うならば、亜子に彼氏ができたことが、私の中での1番大きな出来事だ。
けれど、どれもこれもあの日の思い出に比べれば平凡で、現実的。
だが、私がずっと求めていたものはこれなんだと思ったと同時に、心には穴が開いていてスースーする。
その原因は考えなくても分かる。
私の側に椿がいないこと。
昔…妖の世界に行った時、心は確かに軽くなった。
今もモヤモヤや、苦しみはなく心は軽いまま。
でも…どうしても寂しかったり、友達の幸せな話を聞くと、今彼はどうしているんだろう。元気かな。っていう思いが募る。