【完】キミは夢想花*
けれどあの日、私は彼に会うことなく帰ることを選択した。
あの時の選択を今でも後悔はしていない。
今でもあの選択で良かったのだと思う。
私達は住む世界が違う者同士。
互いに、自分の気持ちや思いを人伝でいい知ることが出来たのなら。
もうそれ以上はなにも望めない。
ただ、心の糧にし生きていくだけ。
「…ちゃん。蓮ちゃん?」
ぼーっと考え更けていれば、声を掛けられたことに気付き我に返る。
辺りを見渡せば教室には生徒がほとんどいない。
そのことが授業がとっくに終わったことを意味した。
「帰らないの?」
「んー…」
私はそう言われ時計を確認する。
まだバイトまで3時間ある。
「ちょっと残るかな。バイトまで時間あるし」
「そっか。バイト頑張ってね」
そう言うと友達と別れ、私は生徒がいなくなった教室で机に倒れこんだ。