【完】キミは夢想花*
私は久しぶりに制服に袖を通した。
1つでもなにか良いことをしたら...
1つでも頑張ったら...
神様が雨を降らしてくれるかもしれない。
柄にもなく神頼みなんてしてみる。
だって、天気予報を見る限り神頼み以外の方法なんてないから。
椿と出会って、1週間ちょっと。
その間に数回雨が降ったため何回かは彼に会っている。
だけどお互いの連絡先は知らなくて。
知っているのは名前と、深夜に仕事があること。
そして...
死にたいと思っていること。
そんな彼は雨の降る夜、あの河川敷に現れる。
だから、雨が降るのを願わずにはいられない。
私は制服に身を包み、部屋を出た。
「蓮ちゃん学校に行くの?」
制服を着ている私を見てお母さんが声を掛けてきた。
「うん...」
「頑張ってね!行ってらっしゃい!」
「...行ってきます」
お母さんは嬉しそうで、私のことを明るく見送った。