【完】キミは夢想花*
「っ……うぅ…っつ、んんっ…」
泣いていることがバレてしまわないように、私は声を押し殺す。
そして、鉛のように重たい足を必死に動かした。
どうしようもないぐらい、私の心の中は椿でいっぱいで。
会えなかった数年、椿のことを思い出さない日はなかった。
私に生きる意味をくれた。
私の世界をカラフルに色づけてくれた。
私の心の支えだった。
本当に本当に、大好きで。
嫌いになることなんて出来なかった。
こんなにも誰かを愛したのは初めて。
だからこそ、私は彼の幸せを1番に願う。
それは例えこの先何があろうとも、変わらない思い。