【完】キミは夢想花*


最初で最後のキス。

何度も何度も、お互いを求め、存在を感じ交わす。



キスをしている間、何度も気持ちを伝えそうになった。



好き。大好き。愛してる。って伝えたくて、伝えたくてたまらなかった。



けれど…その言葉を伝えれば、お互いに生きづらくなってしまう。

気持ちに捕らわれ、この先ほかの幸せなんて望まなくなってしまうだろう。



だから、決してその言葉だけはお互いに言うわけにはいかない。



心の中で何度も叫ぶだけ。

キスに乗せて伝えるだけ。



大丈夫。

きっと思いは届いているはず。



涙でしょっぱいキスが終われば、最後に椿は私を力強く抱きしめた。

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