【完】キミは夢想花*
ボクは蓮と出会ってからというもの、凄く涙もろくなった気がする。
今までは感情を心の奥底にしまい、鍵をかけ自分の気持ちに気付かないふりをしてきた。
どんなに辛くても、苦しくても、無感情を維持しようとした。
なのに、蓮はボクの心の鍵を開けたんだ。
涙なんて、妖には不必要な物。
そう思っていたのに、今のボクは泣かずにはいられない。
涙を必死に止めようと思うのに、涙は止まることを知らない。
蓮とのキスは、これが最初で最後。
ボクは蓮の心に、1輪の花を咲かせた──