【完】キミは夢想花*
「それじゃあ...私は生まれ変わったら蓮になりたいな」
そんな私に亜子は信じられない言葉を発し自分の耳を疑う。
私に生まれ変わっても何も良いことなんてない。
むしろ世界は真っ暗。
「だって、私からしたら蓮は私にないもの全部持ってるから」
「そんなこと「あるよ。いっぱい...」」
亜子は目をまっすぐ見て私の言葉を否定した。
「...人間は自分にないモノに憧れる生き物なんだよ」
亜子はどこか上の空でそんなことを言ってみせた。
「じゃあ、蓮!明日ね!!」
でも次の瞬間にはいつもの亜子に戻っていた。
「あっ、うん。また明日」
亜子は私に笑顔を見せると委員会へと足を運んだ。
この時、私は彼女の言葉の意味を深く考えることはなかった──