【完】キミは夢想花*
気が付けば、私はかなり歳をとっていた。
子ども達も無事に成人し、今では社会人。
そして、太陽と月は2人とも温かい家庭を築いていて、子どもも授かっていた。
私が結婚し、家庭を築き、子どもを育てたことにも驚きだが。
なによりも、こんな私に孫が出来たことは更に驚きだ。
昔の自分に会えるなら、こう言ってやりたい。
〝今は辛いと思うけれど、この先にはとても幸せなことが待ってるから大丈夫だよ〟
あの頃の、どん底にいた自分に。
「ねえ、お母さん」
私はぼんやりと縁側で家族を眺めていると、太陽と月がやって来た。
「子ども達は良いの?」
「うん。今はあっちで見てもらってるから」
そう言って、月の向けた視線の先を見れば、月の旦那さんと太陽の奥さんが居間で子どもと遊んでいた。