【完】キミは夢想花*
「あのね、お母さんが昔いつもしていてくれたお話あるよね?」
あぁ…椿の。
そのお話は、子どもが大きくなるにつれて離さなくなっていた。
「そのお話のね、続きが知りたいの」
「えっ!?」
それは、意外な言葉だった。
「でも、どうして急に?」
てっきりあのお話のことは忘れていると思っていた。
「私達もね、子どもにその話を聞かせてあげたいなって。大好きなお話だったから」
「この間お互いに知っていることを話してみたんだけど……結局結末はお互いに知らないままだったことに気が付いたんだ」
2人の中では、今もずっと女の子と猫さんは出会っていない。
ずっと離れ離れも寂しいもの。
「ふふっ。懐かしいわね。2人ともいつも同じところで寝てしまうから、最後まで話したことはないのよ」