【完】キミは夢想花*


あの頃の私にとって、確かに椿は王子様だったのかもしれない。



決して、キラキラ輝き、光を浴びて生きているような彼じゃないけれど。

私にとっては、どんな王子様よりも素敵に映っていた。



「俺も猫さんみたいな人になたいなー」



「たいちゃんには無理よ。猫さんはこんなにも素敵なんだから!」



「俺だって頑張れば、猫さんみたいになれるかもしれないじゃん」



2人の会話を聞いて、思い出した。



太陽はよく、大きくなったら猫さんになると言っていたこと。

月はよく、大きくなったら猫さんと結婚すると言っていたこと。



太陽も本当は月と一緒で、猫さんと結婚するって言っていたのだけれど、月にたいちゃんは男の子だから結婚は出来ない。と指摘され、その日ずっと泣いていたっけ。

その結果、猫さんになる。という夢に変わったのだ。

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