【完】キミは夢想花*


***



放課後、私は適当にお店に入り時間を潰して日が暮れるのを待った。



そして20時。

いつもよりは少し早い時間に私は河川敷へと足を運ぶ。



結局私の思いとは裏腹に雨は1度も降ることはなかった...



それでも、もしかしたら彼が来るかもしれない...そんな期待を抱いてしまう。



私はそっと目を閉じて川や虫の音、風の音に耳を傾ける。

こうしていると、やっぱり落ち着く。



そんな時、誰かが歩いてくる足音が聞こえてきた。



もしかして...椿?



私は急いで辺りを見渡す。



ワンワン──



けれど、いたのは犬を散歩させている人。



なんだぁ...



椿じゃないと分かった途端肩が下がってしまう。



それから私は来るはずもない彼を待ち続けた。



23時──



そろそろ帰ろうかな...



空も星が見えるほど雲1つない。



やっぱり雨が降らないと来ないんだ。



すっかり諦めモードになり、私は重たい腰を上げた。

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