【完】キミは夢想花*
17××年──
「椿さま。人が1人逃げ出しました」
「早く追え」
「はっ!!」
人間から姿を隠しながら生活し、雨の降る夜に人間を狩る妖の集団が存在した。
人間は妖の存在を知れば酷く恐れる。
そして次に、そんな人間達は妖を狩りにやって来る。
妖達の住処の森を奪いにやって来る。
だから妖は自分の生きる場所を守るために、人を狩る。
そんな妖達を牛耳っていたのは、誰もが羨み称える美貌の持ち主である...
──椿(つばき)──
と言う猫の妖だった。
**
そして、20××年──
今から16年前。
「椿さま...そちらの赤子の名前はどうさないましょう?」
ボクは1人の赤子を拾った。
「名前は......蓮(れん)と付ける」
蓮...ボクはキミに沢山の愛を捧げよう。
ボクは蓮の額に優しくキスを落とした...