【完】キミは夢想花*
その時──
「蓮!!」
私の名前が呼ばれた。
私は声のした方を見た。
するとそこには椿の姿が。
「...どうして...」
少しは期待していたとは言えども、今日は晴れ。
雨なんて降っていない。
現に今だって、私達の頭上には綺麗に星が輝いている。
椿は私に歩み寄り、優しく微笑んだ。
「今日は特別だから」
「特別...」
「はい。これ」
椿は私に歩み寄ると、そっと首に手を回した。
椿の手はひんやりしていた。
「プレゼント」
彼は私の胸元を指さした。
視線を下に落とすと、胸元には金色に輝く石が1つついたネックレス。
「...これは?」
この状況に訳が分からず尋ねる。
「蓮にプレゼント」
なんでいきなり??
だって、私は椿に今日が誕生日だということを教えていない。
だから椿は私の誕生日を知らない。
たまたま?
偶然?
「・・・どうしてプレゼントなんか?」
「今日は特別な日だから」
私の言葉にまたしても椿はそう答える。