【完】キミは夢想花*
今日も私は学校へ行く準備をした。
2日連続で登校するなんて思ってもいなかった。
多分私自身が1番驚いているに違いない。
制服に身を包み、私は最後に昨日椿からもらったネックレスを付けた。
襟元から見える金色に輝く石。
いったいなんの石なんだろ??
今度椿会ったら聞いて見ようかな。
そんなことを考えながら玄関へと向かう。
「蓮ちゃん学校??」
そんな私にお母さんは優しく問い掛けてきた。
「うん」
どう反応していいのか分からず、冷たくなってしまう。
「はい!これ」
「これ...なに?」
けれどお母さんは笑顔で私に小さなトートバックを渡した。
「お弁当だよ。昨日は渡せなかったから...いらなかったら捨てていいからね」
〝捨てていいからね〟
そう言ったお母さんの顔は一瞬曇ったが、すぐにいつもの明るさを取り戻している。
「...うん」
ここで〝ありがとう〟って素直に言えたらいいんだけど...
生憎私はそんな素直な言葉なんて言えない。
「...行ってきます」
「行ってらっしゃい!気を付けてね」
お母さんは私を笑顔で見送ってくれた。
こんなに私のことを気にかけてくれるのに、私はいつまで反抗している気なんだろう。
いつまでもこうしているだけじゃ...逃げているだけ。
他人の子どもをここまで育ててくれただけでも感謝するべき。
お母さんやお父さんは私のことを本当の娘のように接してくれている。
妹は真実を知っているのにも関わらず、本当のお姉ちゃんのように接してくれる。
居場所のなかった私に居場所を与えてくれている。
頭では分かっている。
でも、それを行動に移せるのかは別であって、今すぐに出来る訳でもない。
お弁当全部食べよう。
全部食べて空のお弁当箱をお母さんに届けよう。
私はそう決めて学校へと力強く歩き出した。