【完】キミは夢想花*


そして、亜子は携帯を見てなにやらニヤニヤしている。

それは今日1番の顔の緩み具合。



「蓮の誕生日って...いつ?」



「昨日だけど......」



どうしていきなり誕生日の話に??



亜子は私の誕生日を聞いて、更に顔が緩んでいる。



「.........なに、またニヤニヤして」



恐る恐る聞いてみる。

すると亜子は私に携帯の液晶を見せてくれた。



〝ルチルクォーツ〟



私のネックレスに付いている金色の石の写真と名前。



「へぇールチルクォーツって言うんだこれ」



「そうじゃなくて!その下!!」



亜子にそう言われ下を見る。



「えっ......」



思わず言葉を飲んだ。



「素敵な人なんだね」



〝7月8日、誕生石:ルチルクォーツ〟



そこにはこう書かれていた。



「.........やっぱり」



「えっ??」



椿は私の誕生日を知っていたんだ。

私はネックレスを優しく握った。



ズルいなぁ...本当に......



そんなことを考えれば、私の顔は不思議と熱くなっていく。

< 26 / 202 >

この作品をシェア

pagetop