【完】キミは夢想花*
それから3日後。
久しぶりに雨が降った──
私は朝からルンルン気分。
そんな私を見て、亜子は理解できない表情を浮かべていた。
バイトが終わり、23時。
私はいつもの河川敷へと足を運ぶ。
「久しぶり。蓮」
そこには、いつもと同じようにパーカーのフードを深く被る椿の姿。
そんな彼は私を視界に取り込むと、優しく微笑む。
トクン──
不思議とその笑顔を見た時、胸が弾んだ気がした。
また同時に、
『...じゃあ、好きな人?』
亜子に言われた言葉を思い出す。
「...久しぶりだね、椿」
だけど私は気付かないふりをして挨拶を返す。
「あっ!ネックレス」
椿は私の首元を指差し言った。
「付けてるよ。ところで...この石ってなに??」
敢えて分かっていることを知らないふりをして聞いてみる。
なんて答えるか、純粋に知りたかったんだ。
誕生石だよ。って言うのかな??
それとも、ただ綺麗だったから。とか言うのかな?