【完】キミは夢想花*
どうやらこの手の話は椿が一枚上手だったみたい。
「分かったよ。幸せになるよ。だから、殺さないでよね」
「あははっ、納得するなら最初っからそう言えばいいのに」
「なんか悔しいし」
「本当、蓮は可愛いなー」
「はっ、はぁぁぁあ??!?お、お世辞にも限界があるわ!」
突拍子もなく可愛いとか言うのやめて欲しい!!!
しかも私は人様に可愛いなんて言われるの慣れていないんだから!!!
椿のお陰で顔は真っ赤。
「顔真っ赤」
「煩いなー!」
わざわざ指摘しなくていいのに!!
デリカシーがない!!!
「て、てか、仕事は!?」
恥ずかしすぎて話を変える作戦。
「あ、話変えた」
うう、バレてる...
「煩いな!!」
「あははっ」
あーもう、完全に椿のペースに持ってかれてる。
「...じゃあ、ボク仕事行くね」
「早く行ってらっしゃい。...仕事頑張って」
椿は私の言葉に微笑むと、雨の中姿を消して行った──
その日から、雨が降っても来ない日が続いた。